野村万作さんの「芸歴九十年記念公演」狂言会へ

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 今年6月開催の野村万作さんとその一門による「文化勲章受章記念狂言会」は会員先行抽選で外れ、会員先行予約でも買えず、一般予約でも数分立たずして完売で結局行くことが叶わず、大変臍(ほぞ)を噛む思いをしました。今回の「芸歴九十年記念公演」は何とか苛烈な予約競争のなかチケットをゲット! 11月17日に国立能楽堂のこの会に観劇に伺いました。

 93歳(!!!)で芸歴90年を迎えた万作さんは、舞「三番叟」(さんばそう)を踏み納め(この舞を舞うのは最後)するとのこと。その前半の舞「揉ノ段」は重たい装束も身に着け、躍動感のある足拍子を力強く踏むもので、若手狂言師であっても大変な重労働で神聖に舞うのも相当難しいのですが、万作さんの舞い姿は終始、重厚かつ威厳があり、すこぶる尊く感じました。

 「揉ノ段」が終わり、万作さんが後半の舞「鈴ノ段」のために後見の前に座り、黒式尉という面を付けている際、一万メートル競走を終えたばかりのアスリートのように、激しく息を喘いでいらっしゃって、まさしく全身全霊をかけて、身魂をなげうって舞っておられるのだ、と痛く感動しました。

「鈴ノ段」の舞も大変清らかで、心洗われるようで目頭が熱くなりました。前の席でもハンカチで目に当てている方々が見受けられました。万作さんの「三番叟」踏み収めを観られ、大変ありがたいものでした。

 最後の演目として、神事の祭りを演じる「太鼓負」は万作一門など総勢16人が登場! 祭りの太鼓持ちをする夫(シテ)を演じる野村萬斎さんは、滑稽で愉快なありようが実に面白く、様々な舞と謡(うたい)も十分堪能し、万作さんのお孫さん・なつ葉さん(※下記注)の連続側転で舞台に下がるときは拍手の嵐(ふだん狂言の途中で拍手する習わしは無いのですし、演目の最後であっても控えめに拍手するのが慣習ですが、この演出で自然と拍手がでるのは当然。記念公演ですしね)、最後のシーンで夫婦仲良く舞台に下がりるときも、いつにない盛大な拍手が長く続きました。

 万作さんの芸歴九十年記念を見事にかざる大団円でした。

万作さんはインタビューで「(なつ葉は)”大人になっても狂言をやっていきたい”と言うようになった」と。なつ葉さんは、会を追うごとに子役狂言師として超加速度的に成長していて、実に素晴らしい素質! プロの女性狂言師として、ぜひ実現してほしい!!

出演者:野村万作, 野村萬斎, 三宅右近, 野村又三郎, 石田幸雄, 野村裕基, 野村太一郎, 野村遼太, 深田博治, 高野和憲, 月崎晴夫, 竹山悠樹, 破石晋照, 岡聡史, 中村修一, 内藤連, 飯田豪, 福田成生, 三藤なつ葉 ほか

(自分のインスタグラム投稿からの転載)